6月に入ると、私のゼミ生から内定の報告がぞくぞく来る。
弾けるような明るい声で、「内定決まりました!」と。
電話の向こうには、友人や家族の声が漏れ聞こえてくる。
大学4年生にとって就職活動(かれらは「シューカツ」と呼んでいるが)は
学生時代の最後の大イベントである。自分の適性と能力を自己分析し、企業
研究を経て、企業のホームページにエントリーする所からシューカツは始まる。
何度も会社訪問し、面接を繰り返し、与えられた課題を必死にこなし、「内定」
を手にする。
この期間の学生のシューカツにかけるエネルギーは相当なもので、講義も休み
バイトも休み、シューカツ一本に絞って走り回る。
私も心配して、連絡を取り合い、時には相談にのり、面接のシュミレーションにも
付き合い、彼らの内定獲得には心をくだいている。
だからこそ、「内定決まりました!」の電話連絡には単純に嬉しくなる。