地方とベンチャー (2001.8.4熊本日日新聞夕刊 第五回)
ITベンチャーは地方では難しい、と言われたにもかかわらず創業して10年経った。
地方は情報、人材、ビジネスチャンスが少なかったから、そう思われて当然であった。
私が幸運だったのは、インターネットの普及で情報の地域格差が縮小し、高速道路や
空港の整備で、九州圏内はもとより東京すらも2時間圏内になったことである。
東京は住むには過酷だが、仕事には欠かせない。
だから必要なときだけ東京へ行っている。
確かに交通費はかさむが、安価な生活コストと自然環境を考えると熊本に住むほうが
はるかに豊かだと思っている。
最近は「熊本でも出来る」と思えるようになってきた。
そして「熊本だから出来る」を目指している。
やりがいのある仕事さえあれば、両親や親戚が周りに居て、子供を豊かな自然環境
の中で育てられる熊本が一番良い。
しかし仕事が少ないから、若者が流出し少子高齢化が急速に進行している。
しかも情報も少なく、市場規模も小さい地方ではなかなか企業家は生まれない。
おのずと地方が元気を失ってきた。
しかし最近は状況が変わってきた。
国を挙げてのベンチャー支援ブームだ。
熊本も企業化支援センターやテクノ財団など多くの支援団体が資金面から
経営面まで指導してくれる。
私の創業時とは大違いだ。
こんなチャンスを大いに活かし、多くの企業家が生まれてくることを期待している。
私も参加している九州ニュービジネス協議会も福岡、鹿児島に続き熊本でも
企業家と支援家のマッチングセミナーを10月に企画している。
ベンチャーと聞こえはいいが実態は中小企業であるから、毎日の仕事は地味で厳しく、
努力の積み重ねである。
資金力も組織力も大企業には及ぶべくも無い。
ただ若さとアイデア、そして夢を原動力にして成長していきたい。