平和な時代に生まれた幸運に感謝 (2001.7.28熊本日日新聞夕刊 第三回)
なんと平和な時代に生まれたのだろう。
戦争も経験せず、飢餓の苦しみも無く、しかも言論の自由、職業選択の自由、
男女同権の時代に生きている幸運に感謝している。
私は昭和32年生まれ、まさに高度成長期に生を受け、小学校時代に白黒テレビ
で鉄腕アトムに夢中になり、中学校時代は開通間もない新幹線に乗り大阪万国
博覧会で月の石を見て科学の進歩と将来に夢を持ち、大学時代は古都京都で
過ごし、研究所勤務を経て、ITベンチャーを創業し10年になる。
私の両親は満鉄に勤めていた。
満州の引揚者であり、その苦労は実体験の無い私には想像がつかない。
よくよく考えてみると、明治維新に始まり、西南の役、日清日露、二つの世界大戦
とほぼ100年間の間、曾祖父母、祖父母、両親は苦労が絶えなかったのである。
しかも戦死した多くは青年であり、彼らの思いを考えると、青春時代を謳歌した私
には、受け止めるにはあまりにも重い事実である。
時代の巡り合わせと考えればそれまでであるが、私は今の時代に生きている事
実が偶然であり、幸運に思えてくる。
だからこそ時代に挑戦して精一杯の人生を送りたい。
それが生を受けた恩返しになると考えている。
そんな重い話はさておき、最近の世相は一体どうなってるの、と考えさせられる。
構造改革、少子高齢化、株価低迷の平成大不況、グローバル化、はたまた奇怪な
事件など大変な時代の予感が実感になりつつある。
両親から受け継いだ平和な社会を、息子の世代に引き継げるのだろうか。
カブト虫、メダカも最近見なくなってきた。
なんとかしなくてはいけない。
でも一市民としてはたいした事は出来そうにない。
しかし明るく元気に前向きに、自分の出来る事から始めてみようと思う
今日このごろである。